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貧しさ故に盗みを疑われ、小学2年生で学校に通うのをやめた。読み書きをおぼえようと64歳で夜間中学に通い始めた。それは、連れ添ってくれた妻にラブレターを書くためだった−−。新聞、テレビでも紹介された感動の実話を書籍化。西畑保さん、87歳(2023年現在)。和歌山県の山間で生まれ育った西畑さんは、小学2年生の途中から学校に通わなくなった。自らが落としたお金だったのに、自分のものだと名乗り出たのだが、うそだと言われ、泥棒扱いされた。教師もいじめを止めなかった。それもこれも、貧しさが理由だった。中学で働きに出たパン工場をはじめ、西畑さんの人生につきまとったのは、「読み書きができないこと」だった。働いた飲食店では、電話で受けた注文の内容をメモに記すことができなかった。素材を仕入れに卸問屋に行っても、買い物メモが読めなかった。読み書きができないことを隠して結婚したが、町内の回覧板にサインができず、妻の知るところとなる。それを知った皎子(きょうこ)さんは、西畑さんにこう声をかけた。「ずっと、つらい思いをしてきたんやろな」。それから三十年の月日が過ぎ、64歳になった西畑さんは、夜間中学に通うことに決めた。それは、連れ添ってくれた妻にラブレターを書くためだった−−。
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出版社からのコメント
貧しさ故に盗みを疑われ、小学2年生で学校に通うのをやめた。読み書きをおぼえようと64歳で夜間中学に通い始めた。それは、連れ添ってくれた妻にラブレターを書くためだった−−。新聞、テレビでも紹介された感動の実話を書籍化。西畑保さん、87歳(2023年現在)。和歌山県の山間で生まれ育った西畑さんは、小学2年生の途中から学校に通わなくなった。自らが落としたお金だったのに、自分のものだと名乗り出たのだが、うそだと言われ、泥棒扱いされた。教師もいじめを止めなかった。それもこれも、貧しさが理由だった。中学で働きに出たパン工場をはじめ、西畑さんの人生につきまとったのは、「読み書きができないこと」だった。働いた飲食店では、電話で受けた注文の内容をメモに記すことができなかった。素材を仕入れに卸問屋に行っても、買い物メモが読めなかった。読み書きができないことを隠して結婚したが、町内の回覧板にサインができず、妻の知るところとなる。それを知った皎子(きょうこ)さんは、西畑さんにこう声をかけた。「ずっと、つらい思いをしてきたんやろな」。それから三十年の月日が過ぎ、64歳になった西畑さんは、夜間中学に通うことに決めた。それは、連れ添ってくれた妻にラブレターを書くためだった−−。